●あらすじ |
自他共に認める堅物役人のリンジーは美丈夫の騎士団長ユーリと対峙していた。 酔った勢いで彼女を抱いてしまったことを後悔する彼。 お互い言葉にすることなく密かに想い合っていたせいで こじれてしまった恋の行く末は――!? 「私頑張ります。貴方と一緒にいられる幸せが待っているのだから」 愛されることを知ったレディと、 愛することを知った騎士団長の 優しくて癒されるラブストーリー第二弾!! |
●発売記念SS 女の嗜み、デートの心構え |
『デート』と一言で言ってもいろんな意味合いがある。 ならば、今日のユーリとの初デートにはどんな意味が込められているのだろう。鏡の前で髪を櫛で梳かしながらリンジーはおもむろに考えた。 だが、さほど考え込むこともなく答えは出る。 このデートは二人にとっては再生の始まりなのだと。 一通り梳き終わり、邪魔にならないように髪を横に一つに結わえる。一応リボンで縛ってみたが、それでは味気がなく色気もなかったので一度解いて、今度は三つ編みをしてみた。だが、下手くそな三つ編みは随分とリンジーをみすぼらしく見せるのでこれも解いた。 どうしたものかと考えていると、よく町でハーフアップにしている女性がいるのを思い出し、思い切ってそれに挑戦してみた。見た目には簡単そうだしリンジーにも出来るのではと期待を込めて、鏡の前で悪戦苦闘する。 すると、皆ほどではないがそれでも今までで一番いいと思える髪型が出来上がり、リンジーはホッと一息吐く。今度マリアベルに髪の結い方について教えてもらった方がいいな、と反省をしながら、最後に唇に薄く紅を塗った。 以前夜会に行った後、母が化粧品やネイルグッズなどを押し付け……もとい、リンジーのために揃えて贈ってくれたのが今になって役立った。これで化粧をして着飾る事などいつあるのか……と考えていたが、本当に人生何が起こるか分からない。 薄いピンク色の紅はリンジーの顔をより一層明るく見せ、そして女性らしく見せる。 すっかり様変わりしてしまった自分の姿を鏡で見て、今一度これからのユーリとの事を考えた。 恋人同士ではないが相思相愛の男女が食事に行くのだから、それはデートと言えるだろう。自分で『デート』と言う度に緊張が走るが、それでも今これだけめかし込んでいるのはユーリとデートするためだと思いたかった。 もう一度、二人の仲をやり直す。もちろんちゃんとした恋仲になるべく、二人で一緒に道を歩む。その歩調を合わせるためのデートだ。 ユーリがリンジーを食事に誘って切り出してくれた第一歩。 大切にしたい。失敗などしたくはない。 もう一度全身を見渡し鏡で隅々までチェックした後、拳を握り締めて気合を入れる。 よし! 今日の自分は今まで一番いい状態だ。ユーリの前に出ても恥ずかしくない。そう自分に言い聞かせて家を出た。 いざ、愛する人のもとへ。 |
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それは団長、あなたです。2 |
ちろりん 著:KRN 画 8月31日発行予定 1,200円(税抜) |
めでたしの後もずっと幸せ。
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